リカーブボウ  ハンドルライザー  Win&Win NX Xpert

 アルミ合金のハンドルにカーボンを組み込んだ特徴的な構造のモデルです。同時期にセンタースタビライザーの取り付け部を前方に延長し、アッパー側とロワー側のカーボン構造を連結したXPERTというモデルもありました。Win&Winでは、これ以前にもグリップ部分にカーボン構造を組み込んだものがあり、カーボンの応用には熱心でしたが、良い評判ばかりではなかったようです。このモデルも、金属構造部分とカーボンの剥離が問題になったようですが、西ドイツの女子選手がワールドカップで使用していたことから、ヨーロッパでは人気があったのかもしれません。全体的な形状は、現行のWINEXハンドルにまで共通する独特のデザインラインです。仕上げは丁寧で高級感がありますが、木製グリップはつるつるして滑りやすいと感じるかもしれません。

 アッパー側はサイトウインドウ前縁、ロワー側はセンタースタビライザーブッシュからロワースタビライザーブッシュ手前にカーボン構造が組み込まれています。

 リムボルト裏側には、この時期のWIN製ハイグレードモデルで使われていたセンタリング調整機構の特徴的な円盤が見えます。


 雌ねじ側の円盤状パーツに偏芯したリムボルト雌ネジが切られていて、この円盤状パーツはハンドルに3本の六角穴止ネジで固定されています。構造を理解しないままリムボルトの調整時に意図せず動いてしまったことに気づかず、リムセンターが狂った状態で使用されている方を見かけます。

 リムボルトの周囲に隙間があるのがお分かりになるでしょうか。裏側の円盤の回転で、リムボルトはこの隙間の範囲内を自由に移動させることができるわけです。今でも優れたシステムだと思いますが、構造的には製造にコストがかかっているかもしれません。


 WINのこの時期のトップモデルにだけ使用されていたリムボルトの頭です。ハンドル本体同様、リムとの接触部にカーボンが使われていて、効果のほどは解りませんが、コストのかかったパーツです。最近の可動式リムボルトよりこっちのほうがかっこいいと思うのは私だけでしょうか。

 サイトウインドウ部分のカーボンとの組み合わせ形状です。内部の組み合わせ構造はわかりませんが、クリッカーネジ穴側には直下に金属が覗き見られます。ねじ穴の深さは浅めで、長めのネジが付属するクリッカーでは奥まで締めきれません。


 ロワー側のカーボンの組み込み形状です。CDSとは、CARBON DAMPING SYSTEMという意味のようで、カーボンの使用は振動吸収を目的としているようです。