リカーブボウ  ハンドルライザー  DECUT BASHA

 Win&Win社製品をはじめとして「Made in CHINA」のものは少なくありませんが、こうした中国に生産委託したものやOEMという生産形態ではなく、オリジナルの中国ブランドとなるDECUT社の「BASHA」です。Hoyt社のGMXもついに廃番となりましたが、遠目にはそっくりなデザインです。基本的な製造手法としてはダイキャストのようで、重量は1.1㎏と軽量です。デザインは全く同じでアノダイズカラーの「BASHA Pro」という上級モデルもありますが、こちらは重量も重くCNC加工されているようです。

 


 リムセンターの調整方式はHoyt社の旧システムと同様のシムワッシャーを追加してTスロットを左右に動かす方式です。リムボルトもHoytプロシリーズに似た可動式になっていますが、可動範囲は大きくありません。BASHAは、すべてペイントカラーで赤、白、黄、青、黒の5色が用意されているようです。中国製で気になるペイントの品質ですが、ところどころにチリが塗りこめられているところもあり、わずかに塗りむらや傷もありますが、このライザー自体が上級モデルではないので、我慢できる範囲ではないでしょうか。

 


 オーストラリアのアーチェリーショップであるArchery SupplyがYouTubeでDECUT製ライザーのグリップを絶賛していましたが、グリップの形状は非常にユニークです。一般的なグリップは手のひらの形状に合わせるよう複雑な曲線で構成されていますが、これは例えていうなら角度の付いたコンパウンドボウのグリップです。ピボット部分も含めてほとんどフラットな形状になっていますが、握ってみると不思議にしっかりとフィットします。これは実際に使ってみるとおもしろそうです。

 スタビライザーは、バック側の一般的な3か所と、カウンター用としてロワーリムボルト固定ネジのすぐ上にブッシュが1か所あります。


 開封直後のリムポケットの状態ですが、Tスロット固定用のイモネジが浮き、さらにデタントピンが引っかかりそうなくらい段差が付いたままになっています。チューニングで調整はできる部分ですが、いずれにしても初期の組み立てはあまり丁寧ではないようです。

 付属品は六角レンチ6本、シムワッシャー6枚、クリッカープレートおよび固定ネジ各1個、DECUT製マグネチックレスト「SHING」1個となっています。


 外観を見るだけでは、少し変わったデザインという程度しか気づきませんが、調整のために各部分を分解してみると、一般的なライザーとはかなり異なることがわかります。まず、リムボルトですが、何か気づきましたか。ネジピッチが7山しかないんです。つまり、一般的なライザーのリムボルトの調整範囲は、いっぱいに締めこんでから4回転緩めるまでとされていますが、これはネジピッチ14山のうち10山程度をライザー内に残すようにするため、そうした基準になっているわけです。厳密にはモデルごとにネジ部の長さが微妙に異なるので、調整可能な範囲は異なることになります。いずれにしても、BASHAはネジピッチが大きいこともありますが、2回転までが調整範囲となるようです。また、ロックボルトも非常に薄いデザインでユニークな形状をしています。


 開封した時点でリムボルトは、いっぱいに締めこんだ状態になっていましたが、2回転緩めるとこのような状態になります。一般的なリムボルトよりもネジピッチも大きく、移動量は大きいですが、これが限界とすると、一般的なライザーより調整範囲は狭いかもしれません。

 また、リムボルトのネジ穴加工はあまり丁寧ではなく、かなりの切り子が残っていました。調整する場合は、すべてのネジを抜き取り、きれいに掃除してからのほうがよさそうです。


 このBASHAは、メーカーのホームページにも製品の丁寧な説明はなく、カタログも見当たらないので、製品を実際に手にしてみないとわからない部分が多いのですが、なんとグリップの左右シフトシステムが採用されています。近年のHoyt製品でも、GMXのみに復活採用されただけで、その後の製品では使われていないようなので(新しい製品についてはよく知りません)、このBASHAはGMXを見本にしていることがよくわかります。ただし、このシステムにするためにグリップ内部の背骨部分をかなり細くしてしまっているので、強度的には十分なのか心配になります。